【ICGレポートVOL.766】 「香港プレミアム」が剥がれた 31/10/2022
- ICGレポート

- 2022年10月31日
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10月24日に6.36%下落し15180ポイントを付けた香港のハンセン指数はその後、反発らしい反発もなく、10月28日にはさらに3.66%下落し、14863ポイントで取引を終えた。同期間の台湾の加権指数がほぼ横ばいであったことを考えると香港株式市場の下落は、香港市場特有の問題であったことが理解できる。
これまで香港株式市場は中国の経済成長と米ドルとのペッグ制による資金流入の恩恵を受けてきたが、ここにきて中国景気の減速と米ドルペッグ制による香港ドル高、及び米利上げ政策による香港ドル金利の上昇が香港株式市場の大きな重石になっている。つまり香港株式市場を見ていると、これまでの「香港プレミアム」が剥がれてきているように見える。
これまでは優秀な人材を確保、外資の導入による不動産価格の高値維持、世界の物流の中心という「香港プレミアム」が確保出来ていたが、今はこのプレミアムが剥がれる過程にあるのかもしれない。過去2年間で香港の労働力は14万人減少している。もちろん希望がないわけではない。
米利上げのピークアウトによる不動産市場の持ち直し、強い中国景気の回復、そしてジョン・リー香港行政庁長官は、外国人の人材確保に向けて「トップタレントスキーム」を打ち出している。 年収が31万8000ドル以上で世界のトップ100の大学を卒業し、過去5年間に3年間の実務経験のある人は「香港での就労機会を探るための2年パス」を供与するというものだ。また居住用不動産を購入して香港永住者になった外国人は、印紙税(売買価格または市場価格の高い方の額に15%の課税)を還付申請できる。さらに香港、深圳、珠海等の空港や港湾を経済統合する「大湾区複合港構想」も長期的な経済効果が期待できる。もちろん資金集めがうまく行くかどうかもプロジェクトの成否を決めるのが・・・。

本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤りがないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。




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