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【ICGレポートVOL.785】 名門投資銀行が株式非公開化へ 09/02/2023

  • 執筆者の写真: ICGレポート
    ICGレポート
  • 2023年2月9日
  • 読了時間: 2分

欧州の金融財閥ロスチャイルド家の持ち株会社コンコルディアは、フランスのパリに上場しているRothchild&Co.の47.5%を保有しているが、ロスチャイルド家全体では、54.5%の株式を保有し議決権の3分の2を保有している。持ち株会社のコンコルディアは、Rothchild&Co.の株式の買い取り、同社の非上場を目指している。


そもそもスイスのプライベートバンクは、少数の株主が保有する文字通りプライベート、つまり個人が保有する銀行であったはずであるが、それがなぜ株式公開(IPO)という道を辿ってきたのであろうか? スイスのプライベートバンクは財閥内の資産の運用のみならず、企業の事業支援、アセットマネジメント、投資銀行としての役割を拡大させてきた。しかしながら新型コロナの感染拡大による事業環境の激変や、その後の金利の急上昇によって、株式上場のメリットが薄れてきている。


この間、企業買収(M&A)事業が縮小し、顧問料も急落している。そしてその反面、上場会社としてコンプライアンスの遵守、アナリストによる企業活動の精査・監視、株主の期待に沿うべく株価対策の圧力といったデメリットの部分が強調されるようになってきた。企業事業の支援、アセットマネジメント、投資銀行業務はいずれも株式市場からの資金調達を必要としない。つまりここにきて株式上場のメリットはないが、デメリットは大きいという事を真摯に受け止め始めたのだ。今後はRothchild&Co.のような財閥系企業はもとより、業容拡大よりも経営安定を選択し、非公開化を選択する金融機関や事業法人が追随してくるのかもしれない。



本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤りがないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。



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