【ICGレポートVOL.786】 海外は「ウエダさん」で大丈夫? 17/02/2023
- ICGレポート

- 2023年2月17日
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4月に退任する黒田東彦日銀総裁の後任が植田和男氏に決定した。同氏は日本銀行政策委員会審議委員で東京大学名誉教授である。逸材であることに間違いはないはずだ。ところが、海外からは「ウエダさん、Who?」の声が多い。日本は「なぜ学歴や職歴で人材を選んで、より実践的な人材を選ばないのだろう?」という疑問からだろう。
日本の政策金利は住宅専門金融会社(通称:住専問題)の不良債権額が深刻化した時に、日銀が政策金利を低めに誘導し、1995年3月17日に年率2.2%であった金利が同年10月27日に0.4%を付けて、以降ほぼゼロ金利・量的緩和政策時代に突入している。日本国民はゼロ金利に「慣れて」しまい銀行預金をしても、約30年に渡って利息が付かない時代に突入していた。
しかしながら日本の直近のインフレ率は、輸入物価の高騰による物価上昇圧力を受けて、昨年12月に年率4.0%に達し、1月の企業物価指数は前年同月比+9.5%と高水準をキープしている。電気・ガス、鉄鋼、飲料、食品を始め、調査対象515品目のうちの88%が上昇と高インフレが続く。さらに消費者物価にされる反映される日も近いのではないだろうか。
そう考えると海外投資家の注目点は、日本銀行の植田和男氏が新日銀総裁に決定しているが、果たして同氏がゼロ金利政策を転換して「利上げ」に踏み切ることが出来るのか?というもの。
利上げのタイミングが遅れるとアメリカのように利上げを急ぐ必要が出てきて、経済活動にも悪影響を及ぼし兼ねない。日本にはまだまだ建設業や金融業にも「ゾンビ企業」が多くあるので、それらの企業を犠牲にして金融政策を転換できるのか。新総裁の「初仕事」は意外に早い時期に訪れるのかもしれない。
本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤りがないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。





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