【ICGレポートVOL.797】 民主主義の境界線を日本海から38度線に戻したアメリカ 28/04/2023
- ICGレポート

- 2023年4月28日
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ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する中、対露対策に痛めているアメリカは、ミサイル発射を頻繁に行う北朝鮮は非常に鬱陶しい存在である。しかもこれまで同盟国として共に歩んできた韓国政府の態度が中国寄りであったため、北朝鮮政策で韓国との足並みが揃わず、アメリカは韓国に対して大いに失望していた。しかし潮目が変わったのは、尹新政権が誕生してからだ。
4月26日の米韓首脳会談後に「ワシントン宣言」で、アメリカは韓国の防衛網に核兵器を搭載できる原子力潜水艦を配備することを決定し、「拡大抑止」で北朝鮮に対抗するとともに中国の動きにも目配せを忘れない政策を提供した。北朝鮮が核兵器を使用した場合には、アメリカが韓国に代わって核兵器で北朝鮮に報復する。
アメリカがこの会談で「民主主義陣営」と「社会主義陣営」の境界線を日本海から朝鮮半島の38度線に戻した瞬間であった。日本との関係修復に2024年の次期大統領選に出馬表明したバイデン大統領にとってこれ以上の「お土産」は無かっただろう。
もちろん韓国は大統領が変われば国策も変わり、日本側の陣営から見れば「韓国は信用できない」との意見も散見されるが、韓国新政権は3月16日の日韓首脳会談を経て、きちんと「段階」を踏んでいる。尹錫悦大統領の任期が2027年まで十分に時間があることから、この韓国の外交政策が「時限立法」と考えればこの米韓首脳会談の結果はそう悪くないのかもしれない。
本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤りがないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。





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