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【ICGレポートVOL.814】 米国債格下げでも円安の皮肉 03/08/2023

  • 執筆者の写真: ICGレポート
    ICGレポート
  • 2023年8月3日
  • 読了時間: 2分

通貨は基本的にその国のファンダメンタルズを反映して売買されている。8月1日に米格付け会社のフィッチが米国債の格付けを「トリプルA」から「ダブルAプラス」に1段階引き下げた。引き下げの理由としては難航した債務上限引き上げ問題や民主党の積極財政が挙げられる。しかしながらローレンス・サマーズ元財務長官は「米国は長期的に財政課題を抱えるが、経済が予想以上に好調にみえるいまの格下げは異様」と述べている。

確かに格下げ発表後も米国債市場は、10年物国債の利回りが4.1%前後で安定し、2年物国債も4.9%前後で大きな変化は見られない。逆に為替はアメリカの好調なファンダメンタルズを背景にドルの買い好機とさえ評価している向きがある。仮に米国債の利回りが上昇することがあれば、更なる利上げを催促し、米ドルが買われやすい環境が整う。


株式市場はサプライズに驚きを隠せなかったが、このところ安易に株式市場に資金を投入していた短期筋がいったん資金を引き揚げたと見るべきだろう。アメリカのファンダメンタルズにすぐに変化が見られるワケではない。むしろ今後は日本国債の格付けの方が心配である。


2022年時点のアメリカの債務残高は対GDP比で121.68%に留まるが、日本の債務残高は同261.29%となっている。フィッチは、かねてから「日本国債の格付けの支えは日銀による国債買い入れ」と述べており、シングルA格の日本国債の格下げも視野に入っている。日本国債のレーティングが格下げに見直された場合、日米金利差が縮小するかもしれないが、円安・ドル高を助長しかねない。ユーロ圏金融機関の脆弱な財務状況も含めて格付け会社のレーティングの動向が注目される。



本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤りがないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。



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