【ICGレポートVOL.822】 ユーロ圏、共通の結束理由 15/09/2023
- ICGレポート

- 2023年9月15日
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欧州委員会(ECB)は9月初旬、2023年のユーロ圏経済の成長率を下方修正した。従来予測の1.1%から0.8%とした。2024年も従来予測の1.6%から1.3%に下方修正となった。ユーロ圏最大の経済規模を誇るドイツの経済成長率が2023年は従来予測のマイナス0.2%からマイナス0.4%へとマイナス幅が拡大した。ドイツ経済が縮小したのは、個人消費の弱さや中国需要の減少による輸出低迷が挙げられている。
ユーロ圏経済が低迷を続ける中、域内のインフレ率は8月が前年同月比5.3%と目標とされている2%には時間を要しそうだ。2024年のインフレ率も3%超と予測されているものの、2%の目標達成には現時点での政策金利の年率4.50%でも金利先高観が残る。
一方で域内の景気減速が深刻化する中、市民・国民の目はその責任を政治に向けている。政治家は景気低迷を好機ととらえているのかもしれない。ドイツでは極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)の支持率が21%にまで上昇している。同党は外国人嫌い、反EU・親プーチンを掲げている。中道右派のキリスト教民主同盟(CDU)が同25%であることから右派勢力の台頭が鮮明になっている。
フランスでは世論調査でマリアーヌ・ルペン氏の人気がエマニュエル・マクロン大統領との差が縮小している。イタリアではジョルジャ・メローニ首相が西欧でもここ数十年で最も右派色の強い政権を率いている。9月23日にはスペインで総選挙が行われるが、極右政党のVox(ボックス)が台頭してきている。同党は外国人排斥、女性蔑視の党と言われている。ユーロ圏では、利上げに打ち止め観測が出ているものの急に金融政策の利下げへの転換は出来ない。景気後退が深刻化すると政治も不安定化するのでECBは難しい舵取りを迫られている。
本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤りがないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。





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