【ICGレポートVOL.825】 米「迷走金利」に振り回されてはいけない 27/09/2023
- ICGレポート

- 2023年9月27日
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度重なる利上げにも関わらず米景気は好調を持続している。政策金利は5.25%-5.50%の水準が維持される中、米連邦準備理事会(FRB)の予想では2023年第四四半期の米成長率が+2.1%とされており、6月時点の+1.0%より上方修正されている。金融引き締め効果が出てくると思われる2024年も上方修正し、通年で+1.5%成長、2025年は+1.8%と予測されている。
好景気のもと、インフレ率は下げ渋り、6月は前年同月比+3.0%、7月は+3.2%、8月は+3.7%となった。従って早期の利下げへの転換は遠のき、金利の高止まりが予想される中、短期の政策金利の5.50%に対して、長期金利の指標となる米10年物国債の利回りは4.5%台に留まっている。 つまり長期金利は近い将来の「利下げ」織り込む中、2年物国債の利回り5.0%台を下回った状態が継続している。しかしながら短期的にインフレ率が低下して、米FRBが望む2%台が実現できなければ、米10年物国債の利回りが5.0%台を目指す可能性は排除できない。その場合、ハイテク株や消費関連を中心としたアメリカ株が売られたり、米ドル高を背景とした新興国株の一段の下落があるかもしれない。
但し、金利の高止まりは米景気を冷やす可能性があり、急激なインフレ率の低下に直面した場合、米FRBは速やかに「利下げへの転換」を余儀なくされるかもしれない。 金融政策の決定に投票権を持つミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、「もう一段の金利引き上げが必要になるかもしれない。」と発言する一方で、「来年、インフレ率が急速に低下すれば、利下げが必要になるかもしれない。」としている。 強硬なタカ派と見られている同氏が柔軟姿勢を見せていることは注目に値する。今後、金利の一段の上昇や高止まりによって株式市場で売りが出てくる場合、それがいい買い場探しになるのかもしれない。
本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤りがないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。





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