【ICGレポートVOL.830】 米中、カネの切れ目が縁の切れ目? 16/10/2023
- ICGレポート

- 2023年10月16日
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香港のヘッジファンドマネジャーが呟いた。「日本やアメリカの株式市場はインフレに悩まされながらも比較的堅調なのに、香港株式市場だけが低迷している。しかもこの状況は今後も続く。」NYダウは年初から9月末時点で+1.1%でプラス水準をなんとか維持。一方、香港の代表的な株価指数、ハンセン指数は同期間のパフォーマンスが-10.1%と下落している。中国の景気後退と不動産市場の不振が株価の重石になっているのが表向きの理由である。
しかしながら大きな売り手が存在するとヘッジファンドマネジャーは言う。香港株式市場から欧米系の資金の退出が顕著であるからだ。アメリカ政府は昨年、中国進出アメリカ企業が中国本土を撤退する為に約3兆円を計上して退出を促進している。「ヒト、モノ、カネ」の動きのうち初動はカネに表れる。
香港金融街のセントラル地区ではグレードA級のオフィスの空室率はすでに15%を超えており、過去最高水準となっている。これらグレードA級のオフィスの価格も2018年のピーク時から今年の3月末時点で既に26%程度下落している。米金融情報会社ブルームバーグによると金融大手や銀行の人員削減、またグレードをダウンさせたオフィスの移転が目立つ、としている。前述の香港株ヘッジファンドマネジャーによると、欧米系の「売り越し」は向こう23か月継続すると見られている為、香港株式市場の重石となる見込みである。
ただ一方で地元を含む中国本土投資家は香港株を割安と見ており、ここ数年は「欧米系の売りVS中資系の買い」といった構図が続きそうな気配である。
本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤りがないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。





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