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【ICGレポートVOL.832】 「テクノロジー」よりも「ウェポン」を選択 29/10/2023

  • 執筆者の写真: ICGレポート
    ICGレポート
  • 2023年10月29日
  • 読了時間: 2分

ロシアと中国の中東政策に大きな変化があった。まずロシアのプーチン大統領とイスラエルのネタニヤフ首相はこれまで友好な関係を維持してきた。ロシアがイスラエルの敵であるイランとの関係修復が進む中でも両国の関係は変わらなかった。そしてロシアによるウクライナ侵攻の際にもイスラエルはロシアに配慮する形で、同国の防空システム・アイロンドームのウクライナへの供与を保留していた。

しかし10月6日のガザ地区のハマスによるイスラエル襲撃以降、プーチン大統領からイスラエル人犠牲者の1300人に対する哀悼の意はまったく伝えられていない。ロシアからイスラエルへの移民が100万人にも及ぶにも関わらず、プーチン大統領はこれらのユダヤ移民を切り捨てた。

ロシアはウクライナ侵攻を続ける為に兵器や同盟国を求めて奔走しており、イランとの関係改善を進める一方で、エジプトやイラク、アラブ首長国連邦(UAE)といったアラブ諸国との関係を強化しているのだ。9月13日、ロシアのプーチン大統領は北朝鮮の金正恩朝鮮労働党書記との会談の際に金書記から訪朝を依頼されたが快く引き受けた。北朝鮮にはロシアと同等の扱いを受けたというメリットに対してロシアは武器供与を要請したと見られている。


また中国は、ハマスのイスラエル襲撃後は静観していたが突然、イスラエルバッシングに出た。10月14日、中国外交部の王毅外交部長兼共産党中央政治局委員は、サウジアラビアのファイサル外相との電話会談で「イスラエルのガザ地区攻撃が度を越した。中国は民間人を害するあらゆる行為に対して糾弾する。」としている。


そして「イスラエルの行為は既に自衛の範囲を超えている。」とイスラエル批判に終始した。中国の立場ではイスラエルを全面支援するアメリカの対中東覇権に揺さぶりをかけたいところである。イスラエルのテクノロジーを捨ててでも武器や政治的優位性を優先した両国とイスラエルの間に出来た溝はもはや修復不可能となっている。



本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤りがないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。



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