【ICGレポートVOL.835】 本格化するロシアの資本規制 05/11/2023
- ICGレポート

- 2023年11月5日
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ロシアのウクライナへ侵攻により西側諸国による経済制裁が継続している。ロシアへ進出している西側諸国の企業もロシア撤退を余儀なくされている。そして継続する西側諸国の経済制裁にも関わらずエネルギー価格の高止まりでロシア経済はなんとか踏み止まっている。
国際通貨基金(IMF)は10月初旬、ロシアの2023年の成長率を前回より0.7%上方修正し年率2.2%とした。しかしながら2024年は0.2%下方修正し1.1%と予測している。
ロシアから撤退を開始する西側企業に対して当初ロシアは「去りたければいつでも去るがよい。」というスタンスであったが、実際の態度は違ったものであった。英フィナンシャルタイムズ紙でも報道されている通り、外国籍企業による海外への外貨送金額が1日あたり2000万米ドルに制限されている。そして送金は7日以内に完了する必要があり、撤退企業は事実上、1億4000万ドル以上を受け取る事が出来ない事態に発展している。 ロシアでは外国資産の売却に関する政府権限では海外送金の上限は4億ドルに設定されている為、その規制がより強化されている事になる。通貨ロシアルーブルは1年前に1ドル=60ルーブルであったものが、今年の8月、10月の2度に渡って100ルーブル台の安値を付けている。いわゆるロシアからのキャピタルフライトが起こったのである。(現在は92ルーブル台)
ロシアに経済制裁を加えている西側諸国に対してロシアは、「非友好国」として分類し、ロシア大統領府のぺスコフ報道官は「ロシアを離れる企業は明らかに自由な出口はありえず、政府の特別委員会が厳格に規制するだろう。」と答えている。つまり西側諸国の資産は正規の撤退はあり得ず、没収の対象となることを示唆している。今後、西側諸国とのドラスティックな関係改善がない限り、「人質企業」の救出は一層の困難を極めるだろう。
本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤り がないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。





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