【ICGレポートVOL.838】 米国債利回り低下の落とし穴 30/11/2023
- ICGレポート

- 2023年11月30日
- 読了時間: 2分
このところ米国債の利回り低下(価格は上昇)が著しい。10月中旬には利回りは一時5%を超えていた。米10年物国債の利回りは11月29日現在で4.3%台にまで低下している。また2年物国債の利回りも10月中旬には5.2%台を付けていたが同じく4.65%台まで低下している。現在の米政策金利が5.25-5.50%の水準であるということを考えると、2年物国債の利回りで0.25%の利下げを既に2-3回織り込んでいることになる。
つまり現時点で市場が予測している来年5月の連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備理事会(FRB)の金融政策が利下げに転じたとしても、2024年6月か7月の2回のFOMCまでの利下げを既に織り込んでいることになる。ジェローム・パウエルFRB議長はインフレ率が2%に近い水準に低下するまで、利下げへの転換はないと断言している。ちなみに直近の米インフレ率は、10月が3.2%で、5か月連続で3%台で足踏みしている。
問題は現在の水準からさらに米国債を購入する巨大投資家が存在して、債券利回りが低下(価格は上昇)することである。米FRBは毎月約600億ドルの保有債券を減らしている。またここ1年で中国と日本が売り手に回っており、両国の保有残高は1820億ドルも減少している。米証券業金融市場協会(SIFMA)のデータによると外国人投資家による米国債の保有残高に占める割合は10年前の43%から30%にまで減少している。今後は外人投資家の買いは頼りにならなくなる。利回りの低下は、米国内の金融機関や年金、ファンドといった機関投資家の投資妙味も薄れてくる。この先の金利低下余地はそれほど大きくないと思っておいた方がいいのかもしれない。
本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤り がないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。





コメント