【ICGレポートVOL.854】 日本はデフレ脱却へ最終テスト 03/03/2024
- ICGレポート

- 2024年3月3日
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2022年1月3日の円とドルの為替相場は1ドル=115円台であった。3月1日時点では1ドル=150円台を付ける円安水準にある。円安は日本経済にメリットもデメリットも齎すが、インバウンドの復活や輸出企業の利益増に大きく貢献している。片やデメリットは輸入物価の上昇によるインフレ、そしてエネルギー価格の高騰による経済活動の鈍化が挙げられる。現時点では日本の株価を見る限り、円安メリットの方が大きかったと言えるだろう。なんと言っても30年近くに及ぶデフレに終止符を打とうとしているからだ。
ただこのところの日本のインフレ率を見ると、2023年1月に前年同月比+4.3%から、直近の2024年1月の同2.2%まで下落基調を辿っている。
大企業は別として、中小企業では依然として賃上げは厳しく、また政府内で増税議論が絶えない中、個人消費にも力強さは見られない。ここ1年の株高も日本人の個人金融資産に占める株式保有の割合が10%程度であることを考えると株高による消費拡大はあまり期待しない方がよいだろう。
そしてもう一つの問題は中国経済の動向である。消費の落ち込む中国本土で安価な余剰製品や商品が大量に日本に押し寄せてくる事も多いに考えられる。欧米が中国製品の流入を防ぐべく対策を施している中、日本は手を拱いてその様子を見守るだけなのだろうか?
現在の円安水準でも、それを上回る数量の中国製品が流入すると考えると、日本企業は再び価格競争に晒されてデフレ経済に逆戻りに転じる可能性もある。国連の統計では世界の製造業生産高に占める中国の割合は31%もある。今年の後半から来年に掛けて、日本にも「デフレ脱却の最終試験」が待ち構えている。
本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤り がないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。





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