【ICGレポートVOL.861】 為替市場の伏兵ユーロ 12/04/2024
- ICGレポート

- 2024年4月12日
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1ドル=153円台を突破。折しも日本の岸田首相がNYを訪問しているところだった。岸田首相の米議会の演説に先立ち、米議員たちはスタンディングオベーションで岸田首相を迎え入れた。岸田首相も「日本の国会ではこれほど素敵な拍手を受けることはまずありません」と自身の不人気を念頭に、自虐ネタで「歓迎」に答えた。
日米首脳会談が行われている間、日銀は介入に動くことは出来ないだろうとの思惑が働いた。市場でも米雇用が好調であることと、消費者物価指数(CPI)が再び騰勢に出ていることが、日米金利差が維持され、ドル優位が続くとの見方が働いている。しかしながら日銀は固い決意をもって急激な円安を阻止する姿勢を見せた。
なぜならばこれ以上の円安は過度の輸入物価の上昇を招き、今度は円安デメリットが指摘され始めているからだ。日本は3月中旬にマイナス金利を解除したばかり。継続的に利上げを行うことは消費者や企業心理に大きく影響を及ぼし兼ねないので、日銀には想定外の話だと言える。つまりこれ以上の円安は許容できないというコンセンサスが日銀内に出来上がっている。
しかし我々には忘れてはならないもう一つの通貨がある。ユーロである。ユーロ圏はいち早くインフレの抑制に成功し、利下げ時期が近づいていると推測されている。4月11日の欧州中央銀行(ECB)理事会では5会合連続の金利据え置きを決めているが、6月の会合での利下げが有力視されている。仮に欧米金利差が縮小するとドル高・ユーロ安に拍車が掛かる。つまりドルが買われやすい状況を生み出し、ひいてはドル高・円安に飛び火し兼ねない状況となる。日銀は、ドル円相場のみならず、ドルユーロ相場にも悩まされる状況が続きそうである。
本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤り がないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。





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