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【ICGレポートVOL.874】 フランスから始まる極右ドミノ 15/06/2024

  • 執筆者の写真: ICGレポート
    ICGレポート
  • 2024年6月15日
  • 読了時間: 2分

6月6日から4日間に渡って欧州議会選挙が実施された。フランスのマクロン大統領率いる中道リベラル派は大敗した。欧州議会では右派の躍進が顕著になり国内でも世論に信を問うことにした。マクロン大統領はフランスの国民議会(下院)を解散し、6月下旬から7月上旬に掛けて総選挙を実施することとなった。6月9日に解散が発表されてから、フランスの代表的な株価指数CAC指数は、14日までの1週間で7503ポイントまで6.2%下落している。


背景には国民議会選挙での苦戦が予想されているからだ。右派が台頭している理由は、移民問題である。過去10年間、EU加盟国への移民が300万人から400万人で推移していたのが2022年は698万人に急増している。古い欧州の良き伝統が失われる。そして移民が手厚い手当や支援で優遇されている分、市民は後回しにされていると感じているのだ。高い税金は移民の為に支払われているという地元民の被害者意識が高くなっている。


フィンランドやスウェーデンによる北大西洋条約機構(NATO)への加盟は記憶に新しいところであるが、両国共に加盟を決定づけたのは愛国心である。もちろん対ロシアの安全保障という側面もあるがフィンランドなどはロシアと国境を接するので「明日は我が身」である。そしてスウェーデンは約200年に渡って中立国としての立場を堅持してきたが、人口の20%を超える移民問題で大きく揺れている。移民が本国から家族を呼び寄せてスウェーデンでは移民との間で大きな軋轢となっている。


欧州議会選挙ではフランスの「国民戦線(RN)」、「ドイツのための選択肢(AfD)」、「イタリアの同胞(FDI)」といった極右政党が大きく議席を伸ばした。右派は移民政策のみならずウクライナからの撤退も掲げ、財政支援は自国民に向けられるべきだと訴えている。

ある意味、今後の安全保障を占う上では11月の米大統領選挙よりも直前のフランス国民議会選挙の方が重要なカギを握りそうだ。



本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤り がないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。



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