【ICGレポートVOL.877】 スイスも決断、永世中立国を卒業!? 08/07/2024
- ICGレポート

- 2024年7月8日
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ロシアのウクライナ侵攻以降、これまで中立の立場を貫いてきたフィンランドやスウェーデンが「反ロシア」に動き、北大西洋条約機構(NATO)に加盟して、事実上ロシアを「仮想敵国」とみなしたことは記憶に新しい。
そして今、700年に渡る不戦・永世中立国のスイスが変わろうとしている。欧米諸国がロシアに経済制裁を加える最中、スイスはロシア国内のロシア人のみならず国外のロシア人のスイス銀行の口座資産に対しても凍結を実施した。その後は少し規制の対象を緩和しスイス国内のロシア人のみにターゲットを縮小したものの、ロシアを「敵対視」していることに変わりはない。
スイス人の意識も変わりつつある。2000年代のボーダレス化の波にのまれる形で労働時間の短縮が逆流している。かつてスイスと言えば、商店やスーパーマーケットは夕方5時には閉店、5時以降の商業施設は閑古鳥が鳴いていた。しかし押し寄せるボーダレスの波が、スイスの競争力を失わせ、国民は危機感を抱いた。そして政府を動かし時短は崩壊した。スーパーマーケットや大規模小売店舗は、夕方18時、遅いときは21時まで営業を続けている。
金融面ではアメリカとの闘争を経て、マネーロンダリングに関しても国際社会に協力的で、テロを含む犯罪者の口座や資産を「持たず、作らず、持ち込ませず」のスタンスを踏襲している。各国の徴税に関しても協力的である。
それでもスイスでの資産運用の資金が増加傾向に変わりがないのは、やはり伝統的なスイス銀行の財務状態の健全性や蓄積された資産運用ノウハウという武器があるからだろう。
永世中立国の立場を利用していろいろな色の資金を受け入れてきたのは過去の話で、現在は資産運用(ウェルス・マネジメント)で世界中から資金を呼び込んでいる。

本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤り がないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。




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