【ICGレポートVOL.935】 米中貿易摩擦、既に勝負は終わっている 28/04/2025
- ICGレポート

- 4月28日
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4月5日付けのフィナンシャル・タイムズ紙の社説‘Trump’s destruction of global alliances’では、「米国の過酷な関税攻勢の影響は貿易に留まらない。トランプ氏は世界的な米国の同盟国網をも破壊するだろう。」と指摘されている。つまり英国を含む欧州諸国、これまで足並みを揃えてきたカナダ、豪州、ニュージーランドや韓国、日本との信頼関係も途切れることを意味している。そして中国をターゲットにした関税政策に重点を置いているものの、中国との対話を期待しているトランプ米大統領の思惑とは違い、中国側は現時点では対話の可能性は低いと公言している。
アメリカが世界最大の穀物輸入国の中国という市場を失うということは、アメリカの農業を窮地に追い込むという意味で、中国は南米や東南アジア諸国との連携を強化して急場を凌ぐことが出来る。また中国は追加関税の報復措置として、レアアース(希少土)とレアメタル(希少金属)の対米輸出を止めた。これらは電子機器や家電製品、スマホやパソコン、軍需関連や航空宇宙分野等、我々が日常的にフル活用している機器やハイテクの製造に必要不可欠のものである。
しかも中国は鉱石からレアアースを抽出する精錬においては世界の9割のマーケットシェアを握っている。このような事態を招いてトランプ大統領には勝算はあるのだろうか?むしろ今後は政策の転換を求められるはずである。そういう意味で既にアメリカの一人負けで「不確実性」は取り除かれた。NY株式のリバウンド相場はその事実を織り込み始めている。
本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤り がないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。





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