【ICGレポートVOL.954】 スイス連邦が欧州連合(EU)入りを目指す? 01/09/2025
- ICGレポート

- 9月1日
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永世中立国とは国際条約または自国の宣言によって、将来のすべての戦争の交戦国に対して中立であることを義務づけられている立場を取る国家のことを指す。
スイスは1815年に「永世中立」を宣言した。これは他国からの軍事的脅威に遭えば、如何なる同盟国にも頼らず、自国の軍隊のみで解決することを意味する。従って強力な軍隊を擁し専守防衛を是とする。
そのスイスの様相が最近は変わってきている。ロシアによるウクライナ侵攻以来、国内のロシア籍の個人・法人の資産を凍結し、ロシアによる武器購入や傭兵に繋がる資金の提供を阻止している。アメリカを中心とした西側諸国のロシア制裁に協力しているが、ロシアという新たな脅威に対して自らも変化を遂げている。
ただ味方だと認識していたアメリカのトランプ大統領はスイスに対して39%の関税を課した。スイスにとって、アメリカは時計やチョコレート、医薬品、工作機械などの製品の輸出先としては最大の市場である。高関税の理由は単純でアメリカによる対スイスのモノの貿易赤字額が大きいためで、2025年上半期は480億米ドルに上っているからだ。ドイツやフランスへのトランプ関税は15%であることからスイスの企業は大変な競争に晒されることになる。
スイスでは以前から欧州連合(EU)との関係強化を巡る議論が広がっていた。スイスはEUに加盟していないが、二国間協定を通じてEU各国と密接に結びついている。EU市場へのアクセスを拡大する協定については、来年中にも国民投票を実施する見通しだ。つい最近、スイス政府は原子力発電所の新設禁止措置を撤廃する法律の草案を公表した。これは2018年から始まった脱原子力政策の転換を意味する。近い将来、スイスはEU加盟も視野に入れているのか?当面、スイスの動向から目が離せない。
本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤り がないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。





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