【ICGレポートVOL.748】経済成長を目指せなくなった中国 25/08/2022
- ICGレポート

- 2022年9月20日
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8月22日、中国人民銀行は政策金利の引き下げに踏み切った。優良企業に適用する貸付金利の参考となる最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)の1年物を年率3.7%から0.05%引き下げて、3.65%とし、同5年物は4.45%から0.15%引き下げて、年率4.30%とした。下げ幅が小さかったことと、大規模経済対策を希望しているマーケット参加者は失望し、香港・中国関連株は軟調に推移している。中国の当局としては、利上げを継続して景気に対する危機意識を投資家と共有しているというアナウンスメント効果を狙ったわけであったが、残念ながら有効な手段ではなかった。
欧米先進諸国がインフレ抑制の為に、利上げ政策を施しているにも関わらず、中国当局は今年既に3回の利下げを行った。しかしながら景気浮揚、或いは株式市場のテコ入れには効果を発揮していない。
そこには中国経済の構造問題が見え隠れしている。経済規模も大きくなり、あと数年でアメリカの経済規模を抜くところまでになった。しかしながら高度経済成長の過程で多額の借り入れも発生していた。2008年のリーマンショック時に中国政府は対GDP比で約13%に相当する4兆元の景気刺激策を打ち出した。通常、中国では中央政府が景気刺激策を打ち出しても、実際の政策遂行の大部分は、地方政府、政策銀行、国有企業の3大サプライヤーが実行するので、これら3団体の債務が膨らむ事になる。
中国政府の債務残高は対GDP比で20%程度となっているが、これら3団体と非金融セクター向けの与信残高は既に対GDP比で300%を超えるレベルとなっていると見られている。コロナ渦云々は関係なく、中国経済も成熟期に近づき「借り入れ有りき」の経済成長は通用しなくなってしまった。
本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤りがないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。





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