top of page
検索

【ICGレポートVOL.749】岸田政権、ドイツの苦境が教訓に 26/08/2022

  • 執筆者の写真: ICGレポート
    ICGレポート
  • 2022年9月20日
  • 読了時間: 2分

8月24日、日本の個別銘柄が急騰した。東京電力(9501)が前日比+9.9%、東京エネシス(1945)が同+9.27%、そして助川電気工業(7711)が同+7.81%の上昇となった。この日は日本の岸田首相が、「次世代の原子力発電所の開発・建設を検討するよう指示」したことで関連銘柄が物色された。2023年夏以降に原発7基を追加で再稼働させること。そして最長60年とされる運転期間の延長に向けたルール見直しも検討する。


2011年の東日本大震災の際の津波による福島原発危機以来、日本人の間に蔓延していた「原発アレルギー」は、ロシアのウクライナ侵攻が長期化を転機として、日本もエネルギー政策の見直しが急務であった。 

見直しのきっかけはユーロ圏の大国ドイツのエネルギー政策である。2011年に当時のアンジェラ・メルケル政権が決定した原発の段階的な閉鎖、「ゼロ原発政策」はドイツを苦境に追い込んだ。 現在ではドイツ国内ではわずか3基の原発が残るのみとなった。 


当初は年内の閉鎖を予定していたが、ここにきて政策転換し、3基は残すこととなった。ドイツにおける原子力による発電量は、全発電量に占める割合は6%で、昨年の12%から低下している。ドイツが外交面で脆弱になってきたのは、エネルギー政策の失敗によるものであると言われている。輸入しているエネルギーのうち天然ガスの55%、石油の34%、石炭の26%をロシア産に頼っている。しかもこれら3つの燃料はドイツのエネルギー消費量の4分の3を占めている訳だから、ロシアとの関係悪化で国内のエネルギーの供給危機に直面することとなった。


国際原子力機関(IAEA)によると日本は20年前、原子力発電で国内電力需要の約3分の1を賄っていたが、現在ではその比率が7.2%にまで低下している。日本は石炭、石油、天然ガス、のほぼすべてが輸入に依存している。日本政府は、三井物産・三菱商事に対してロシア極東の資源開発事業「サハリン2」を巡り、事業継続を要請している。国際社会の批判を浴びようとも、前進するしかない。日本には端から長期的なエネルギー政策のビジョンがなかったのだから。



本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤りがないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。



ree

コメント


ICG International

  • alt.text.label.Twitter

©2023 ICG International

bottom of page