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【ICGレポートVOL.756】新興国の脅威はアメリカが「輸出」するインフレ 28/09/2022

  • 執筆者の写真: ICGレポート
    ICGレポート
  • 2022年9月28日
  • 読了時間: 2分

連続利上げにより米ドルが強い地合いが続いている。ドルインデックスは、年初から9月28日までに既に19.9%も上昇している。通貨ユーロは1ユーロ=1ドル割れに追い込まれたし、英ポンドも1ポンド=1ドルのパリティ割れも時間の問題と言われている。もっともユーロ圏諸国もイギリスも経済のファンダメンタルズがしっかりした国家でさえドル高・自国通貨安に見舞われているのだから、新興国通貨はさらなる通貨安に陥っている。

 

7月5日、スリランカが財政破綻に追い込まれた。コロナ前の2019年の国内総生産額(GDP)が約840億ドルで、この時既に対外債務が510億ドルあった。外貨準備高は2022年4月末時点で16億ドルしかなかった。1か月分の輸入額にも満たない水準であったために、ドル高・スリランカ・ルピー安に見舞われてドル建て債務の返済が困難になり破綻した。 


またこの1年間でデンマーク、日本、韓国、ニュージーランド、ポーランド、ハンガリーといった通貨が対米ドルで20%以上の通貨安となっており、輸入インフレと闘わなくてはならなくなった。急激な米利上げにより、これらの国家は追随利上げや景気対策に追われている。いわゆる米金融政策の「被害者」と言えなくもない。


ただ国によっては輸入インフレを甘受しながら利上げを打ち止めにする動きも見られる。南米のブラジルは政策金利を13.75%で維持し、利上げは打ち止めと宣言している。また北欧のノルウェーも9月22日に0.5%の利上げを行い、2.25%として近く金融引き締めを終了する可能性を示唆している。


アメリカも長期化するドル高政策で国内のインフレを抑えようとしているが、果たして効果が出てくるのはいつ頃になるのだろうか。 ポンド、ユーロのパリティ割れの話題はインフレのピークアウトとともに為替のトレンド転換期が近づいている事を暗示しているのかもしれない。 



本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤りがないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。


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