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【ICGレポートVOL.757】 中国の資金調達戦術 03/10/2022

  • 執筆者の写真: ICGレポート
    ICGレポート
  • 2022年10月5日
  • 読了時間: 2分

「ゼロコロナ政策」によって中国経済は青息吐息の状況が続く。2022年の中国経済の成長率も経済開発協力機構(OECD)は+3.2%(前回予想は+4.4%)、世界銀行は+2.8%(前回予想は+5.0%)と大きく下方修正されている。世界では経済活動の再開が進んでいるにも関わらず、国内都市部では依然としてロックダウンが継続されているところもあり、サプライチェーンの混乱は収まっていない。それでは中国の共産党政権は、経済を見殺しにしているのか? 


5年に一度の中国共産党第20期全国代表大会(第20回党大会)が10月16日から開催され、そこで習近平国家主席の「党主席3選」が確実視されている。そこでは盛大なご祝儀がお披露目されることになる。実は中国は着実に「国内マネー」の流動性の確保に動いており、2023年の景気回復に向けて既に舵を切り始めている。

まず第1に自国以外への援助を大幅に減額している。中国は多くのアフリカ諸国に対して最大の債権国という立場にいるが、2016年をピークとして減少傾向を辿っている。米ボストン大のグローバル開発政策センターによると、中国の対アフリカ融資は2020年に19億ドルに留まり、前年比で77%も減少している。 2016年のピーク時には280億ドル近い融資があった。融資先のスリランカの財政破綻も融資縮小の動きに拍車を掛けている。


そして第2に、地方政府による「インフラ債」を最大5000億元(約10兆円)発行する準備を整えている。インフラ債は特別会計に相当する「政府性基金」で管理しているが、この基金の主な収入は地方政府が土地の使用権を不動産開発企業に売って稼ぐ土地入である。不動産市況が悪化しているが、地方財政の悪化という副作用も考慮しつつ、思い切った政策を打ち出した。

これらは財政悪化を懸念する投資家を他所に一時的に経済効果はありそうだ。

また第3に香港証券取引所を通じて中国の中小企業が新規公開株式(IPO)に180社以上の長蛇の列が出来ており、中国の大手銀行を通じての「間接金融」ではなく、株式市場を通じた「直接金融」で国内企業の流動性確保を狙っている。アメリカとは関係が悪化しているが、相手のお株を奪う資本市場からの資金調達にも余念がない。


本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤りがないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。




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