【ICGレポートVOL.781】 イスラエルにロシアの資金が大量に流入 21/01/2023
- ICGレポート

- 2023年1月27日
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スタートアップ国家イスラエルの2022年のハイテク投資額は、149億5000万米ドルであった。これは2021年の258億6400万米ドルから42%減と大きな落ち込みである。2021年は世界的にゼロ金利時代を謳歌し、湯水の如く投資資金の流入があった。ところが2022年は米連邦準備理事会(FRB)による連続利上げによって資本市場の収縮が進み、投資資金は逆流する結果となった。これは株式市場、債券市場でも同様のことが起こっているので驚きはないだろう。いわば2021年がITバブルで出来過ぎと見るのが普通ではないだろうか?
例えばイスラエルのハイテク投資額を2020年の投資額でみると通年では104億700万米ドルで、2022年と比較すると43%程度増加している。2018年、2019年の通年の投資額がそれぞれ58億8400万米ドル、77億9300万米ドルであることから右肩上がりのトレンドは維持できている。さらに現在、イスラエルには特殊要因が起こっている。ロシアのウクライナ侵攻でロシア政府を、信用することのできないロシアの資産家は彼らの資金をイスラエルに移動させている。アメリカを中心とした西側諸国は、国際銀行間通信協会(SWIFT)からロシアの大手金融機関を締め出し、ロシアからの海外送金を出来ない状態にしている。ところが実際にはロシアの資金はイスラエルに流入している。
ロシアにはユダヤ系の民族が多数存在することから、彼らの移住や送金をアメリカが黙認しているのだ。ユダヤ系ロシア人の富豪には多くのIT成功者が存在し、かつその技術力をイスラエルに持ち込む。つまりIT技術の持ち込みが軍事転用への強化にも繋がり、イスラエルとしては非常にいいディールを行っているとの認識である。もちろんアメリカも同盟国のイスラエルの軍事力強化は、自国の国益と考えている。
本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤りがないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。





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