【ICGレポートVOL.782】 黒田日銀総裁は「逃げ切り」へ 27/01/2023
- ICGレポート

- 2023年1月27日
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世界的な高インフレに終わりが見え始める中、2022年12月の日本の企業物価指数は前年同月比+10.2%上昇し、同12月の消費者物価指数は前年同月比+4.0%と41年ぶりの上昇率となった。一時は日本銀行が金融緩和政策を変更し、金利を引き上げるのではないかと憶測を呼んだ。ただ日銀は2022年12月の前回会合で、市場機能の低下を理由に長期金利の上限を0.25%程度から0.5%程度に引き上げた為に、1月17日から18日に開かれた金融政策決定会合で「長期金利の上限引き上げが市場機能に及ぼす効果について、いましばらく時間をかけて見極める必要がある」との意見が出ていた。日銀の本音は多少、インフレで消費者を犠牲にしても出来るだけ利上げは先送りしたいということだろう。
一方で米インフレ率は昨年6月の9.1%から12月には6.5%にまで低下してきた。大方の専門家の見方は、2023年の前半に政策金利は5.0‐5.25%程度でピークアウトし、やがて「利下げ」へ転換するとのシナリオである。
アメリカの金利上昇に歯止めが掛かり、しかも米金利が低下してくるとなれば日米金利差の拡大を抑えることが出来る。また日米金利差の縮小も見られるかもしれないという期待が日銀には存在する。つまり昨年来、苦しめられていた円安による輸入インフレにも歯止めが掛かるという計算である。
しかしながら波乱要因もある。米FRBは早期の利下げへの転換を市場が催促していることに不快感を示していることだ。それでも米2年物国債の利回りは1月19日には一時4.04%を付けた。ピーク予想の金利水準の5.0-5.25%よりも1%も低い利回り水準である。黒田日銀総裁は4月に任期切れを迎える。現時点では債券市場は黒田総裁の味方に付き、「利上げに転じて日本経済を失速させる責任」は負わなくて済みそうである。
本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤りがないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。





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