【ICGレポートVOL.806】 時間が掛かる中国景気の本格回復 06/06/2023
- ICGレポート

- 2023年6月6日
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香港のハンセン指数は、年初から6月5日までのパフォーマンスを見ると-10.44%となっている。米金利の上昇と、中国経済の先行き不透明感から外人投資家の売りが散発的に続いている。一方で米株式市場のダウ平均は同-1.21%、S&P500指数は同+7.66%、ナスダック総合指数は+21.02%となっている。米中間の摩擦が続く中、投資家は中国市場よりも米国市場を選好していると見受けられる。
昨年末の中国の「ゼロコロナ政策解除」の後、中国の景気回復が期待されていたが、それもかなり緩やかなものとなり、中国の4月の固定資産投資は前年同月比+4.7%に留まっている。また人民元安に伴い中国市場からの資本の逃避がかなりあった模様。今年に入って人民元は対ドルレートで約5%の人民元安となっている。 香港一の大富豪の李嘉誠氏が所有する超高層ビル、チョンコンセンターの空室率は25%に達し、不動産の李兆基氏が建設中のザ・ヘンダーソンは賃貸契約が成立したのは30%に留まり、オフィス賃貸料と販売価格は急落している。香港ではなお過去最大の1300万平方フィート(約121万平方メートル)のオフィススペースが空室となっている。
従来ならば中国系資本がこれらのオフィスビルの購入や賃貸を積極的に行ってきただけに、中国経済の不振がこのようなところにも如実に表れている。 香港株式・不動産市場は中国でもっとも洗練された市場で、統計における透明性も高い。従って香港市場をウォッチしておくことは中国経済の動向を見る上で非常に重要な要素となっている。

本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤りがないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。




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