【ICGレポートVOL.820】 日本銀行は本当に長期金利をコントロール出来るのか? 04/09/2023
- ICGレポート

- 2023年9月4日
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7月下旬、日本銀行は金融政策の長期金利の1%までの上昇を容認した。事実上の「金融引き締め政策への転換の地均し」と外国人投資家は受け止めた。9月1日時点の長期金利の指標となる日本の10年物国債の利回りは、0.62%で現時点ではすぐに長期金利の1%を目指す動きはない。 もちろん日本銀行が0%金利を念頭に「長期国債買い」を継続しているのが1%に届かない理由であるが、足元の物価水準も落ち着きを見せ始めている。日本の7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比+3.1%で6月の+3.3%からは低下した。
ところがここにきてアメリカの金融市場では金利の高止まりが囁かれ始めている。要因は好調な米経済が個人消費を後押しする形でインフレ率は低下しないというのである。米消費者物価指数(CPI)は、7月に前年同月比+3.3%と6月の同+3.0%からは上昇してしまった。変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数が7月は同+4.7%と6月の同+4.8%から十分に下がりきっていないという事実がある。
つまり米FRBの見解では市場が期待するような「早期の利下げへの転換はない」というメッセージを送り始めている。ひいては金融引き締めの局面が継続するという事である。 これを受けて、日本の金融政策も「長期金利1%」の容認を当面継続せざるを得ない状況となる。日米の金融政策の不一致は、金融市場の混乱を招くとの「日銀の配慮、米FRBの無言の圧力」の両方により日本銀行も「低金利に抑えつつ、物価も抑制する」という難しいかじ取りを迫られる。どこまで日銀が長期金利をコントロールできるのか?向こう6か月が正念場になってきた。
本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤りがないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。





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