【ICGレポートVOL.821】 将来、日本国債の格下げでモラトリアムはあるのか? 05/09/2023
- ICGレポート

- 2023年9月5日
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国際通貨基金(IMF)の統計によると、日本の長期債務残高は2022年末時点で対GDP比261%とされている。先日、格付会社のフィッチが米国債の格下げを行ったが、その米国の長期債務残高は同対GDP比121%とされている。さらに日本は国家財政も改善するどころか年々悪化。2023年度予算でも35兆円程度の国債(借金)の発行が予定されている。それでは近い将来、巷で言われているように日本の財政は破綻する可能性があるのか?
外国人投資家は、いざとなれば日本政府が返済を保証するとか、日本銀行が特別に融資をするといったある種の『机上の空論』はあまり信用しない。しかし日本には個人金融資産が2000兆円以上存在するという『事実』は信用している。海外勢が安心して日本国債を購入できる理由は、日本には個人金融資産が2000兆円もあるという事実である。仮に日本政府・日銀が補填出来ない状況が発生したら、税収を上げる、つまり増税すれば解決できる問題であると外国人投資家は見ている。国際通貨基金(IMF)や欧米の政府機関といった国際社会からも日本に対して相当な増税圧力が掛かるはずである。
消費税の増税や欧州で導入されているような財産税の導入で十分に賄うことが出来る。例えば国民の2000兆円の金融資産に一律1%税金をかけることが出来れば、20兆円の税収を得ることが出来る。消費税を現在の10%から20%に段階的に引き上げる事が出来れば毎年、安定的に20兆円の増税となる。不動産増税も当然視野に入るであろう。仮に外国人投資家に日本国債の償還が出来なかった場合、日本国民は金融市場から「モラトリアムによるハイパーインフレ(物価高)、或いは失業を受け入れるか、それとも大幅増税を選択するか」という問題に直面する。その場合は国民も後者を受け入れざるを得なくなるだろう。以上のことから段階的に日本国債が格下げにあったとしても、最終的に大増税でカバー出来る事からモラトリアムは発生しない可能性が高い。
本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤りがないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。





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