【ICGレポートVOL.824】 欧州と中国のデ・カップリング 21/09/2023
- ICGレポート

- 2023年9月21日
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9月上旬に開催された主要20か国・地域首脳会議(G20サミット)でイタリアのメローニ首相は中国の李強首相にイタリアの「一帯一路離脱」を伝えたと報道があった。イタリアはG7諸国の中で唯一の一帯一路参加国であったが、期待した成果が上がらなかったことが離脱の理由であるが、メローニ首相が近年のイタリア政治において右派であることと、G7重視へ舵を切ったことが主因と見られている。
しかしながら伏線もあった。8月には「一帯一路構想」の一環である、中国と中東欧諸国との経済協力枠組み「17+1」において、バルト海沿岸のエストニアとラトビアがこの枠組みの離脱を発表している。さらにスロバキアも両国に追随して離脱する可能性が囁かれている。
2013年にスタートした一帯一路は岐路に立たされている。コロナ渦で新興国の経済状況が悪化し、融資や支払い利息の返済に支障をきたし始めているという。米調査会社ロジウム・グループによるとこれら返済されない問題債権は768億ドルに上ると試算されている。一帯一路構想は、中国からユーラシア大陸を経由してヨーロッパにつながる陸路の「シルクロード経済ベルト」(一帯)と、中国沿岸部から東南アジア、南アジア、アラビア半島、アフリカ東岸を結ぶ海路の「21世紀海上シルクロード」(一路)の二つの地域からなるが、先行して中東欧諸国が徐々に中国と距離を取り始めていた。
イタリアは2022年時点の政府債務残高が対GDP比で144%に達しており、世界でも5番目に債務が多い。ユーロ圏の主要国も財政的には余裕がなく景気後退を機に中国との距離を取る姿勢が見られる。
本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤りがないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。





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