【ICGレポートVOL.857】 日米合意の円安!? 22/03/2024
- ICGレポート

- 2024年3月22日
- 読了時間: 2分
米利上げが最後に行われたのは昨年7月。そしてその後も政策金利は5.25‐5.50%に留まっている。本来ならば日銀は、昨年の7月までに欧米の中央銀行に足並みを合わせる形で利上げをしてこなくてはならなかった。そうすることによって日米金利差を拡大させることなく、過度の円安は防げるはずであった。自国の国富(日本円)がドルベースで目減りしているのだから決して喜べるものではないはずだ。安全保障においても武器調達のコストが上昇するのだから自らを不安定な状況に追い込み兼ねない。
今回の円安局面は、日本政府も日銀も歓迎しているように見受けられる。株式上場している大手企業は海外にビジネスを展開しているため、円安によって海外で上げた利益(例えばドル建ての利益)は、日本円建てで評価すると自動的に利益が増える。そしてそれが株高に
なる。株価の上昇は如何にも日本経済が復活しているように見える。
日本政府も日本銀行も当面は、株高を背景に国内の様々な構造的な問題には着手せずに株高に頼るのだろう。ラッキーな事に円安・ドル高局面では常にアメリカの政策当局者は日本を名指しで批判してきたが、今回の円安局面では不思議と「静観」を極めている。アメリカも財政難からドル高を演出しながら世界から資金調達したいと考えているだろうから、当然かもしれない。
ただ日本銀行の政策は円安による物価の上昇を見届けてから重い腰を上げての利上げ。そして材料出尽くしの円安。というような悪循環に陥っているのではないだろうか? 政策転換で円高に向かうと見ていたのが大方の見方であったが、マイナス金利の解除後に為替は円安に振れてしまった。今後はいずれかの時点で債券価格が急落(利回りは上昇)することが懸念されるが、果たしてその先には何が待っているのだろうか。 利上げが後手に回っている限り、債券価格が下落し(利回りは上昇)、そして金利の上昇というリスクが伴うことが懸念される。
本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤り がないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。





コメント