【ICGレポートVOL.868】 米国債保有を大きく減らす中国 08/05/2024
- ICGレポート

- 2024年5月9日
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この1年間、1ドル=7.2-7.3人民元レベルでは、中国当局による人民元買い・米ドル売りの為替介入が入っていたようだ。不動産開発業企業の経営危機、個人投資家による海外投資、そして外資の中国ビジネス縮小・撤退が相次いだ。そして金融政策も米当局の金融引き締め政策に対して、中国当局は金融緩和政策を遂行していた為に、米中金利差から通貨・人民元に対して売り圧力が生じていた。
そしてもう一つは、2016年には1兆2000億米ドル以上保有していた米国債を継続して売却し、今年の2月時点では既に7550億米ドルにまで減少している。そして一方で金(ゴールド)を購入しているのだ。
中国の金保有残高は今年3月末時点の1610億7000万ドルから68億9000万ドル増の1679億6000万ドルとなった。この動きは様々な憶測を呼んでいる。まずアメリカとの関係におけるデ・カップリングであるが、安全保障や経済問題を筆頭に欧米諸国は常に人権問題もチラつかせる。お互いに相容れない価値観の元では、蜜月の関係を継続するのは難しい。
特に安全保障面では、ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルとハマスの闘争に端を発した中東政策、そして台湾問題においても、あまりにもイデオロギーが違い過ぎる。まずは経済的に距離を置きながらということなのかもしれない。しかしながらゴールドは米国債との比較ではいくら保有していても金利を生まない。ゴールドを保有する事で通貨・人民元に対する信用創造を視野に入れているのかもしれないが、それは既に70年代にアメリカが実験済みで、ニクソン・ショックという形で失敗に終わっている。
中国には経済制裁を受けているロシアとイランから安価な天然ガスや原油といったエネルギーが流入している。金本位制を敷いた「反・西側連合」による新しい通貨が生まれるとでもいうのだろうか?
本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤り がないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。





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