【ICGレポートVOL.881】 日本株が落ち着くタイミング 05/08/2024
- ICGレポート

- 2024年8月5日
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アメリカの景気後退懸念、日本銀行の利上げ、そして何と言っても米主導の相場の行き過ぎによるより戻しが株式市場の混乱の要因になっている。特に7月中旬時点で、S&P500指数に占める株式時価総額の上位3銘柄(マイクロソフト、アップル、エヌビディア)の割合が21%まで引き上げられていた。上位10銘柄に限っては36%に達するという歪な銘柄選考となっていた。残りの490銘柄を合わせても、時価総額に占める割合は64%に過ぎなかった。
近未来の経済予測として生成AIを中心とした大手IT企業が引き続き世界経済の中心に躍り出る可能性があるとしても、あまりにも一極に資金が集中し過ぎた。
これら大手IT企業の買い手は、各国の個人、機関投資家の両方で彼らの中には「円キャリートレード」を使用しているケースが多い。ゼロ金利の日本円を借り入れて、ドルを買って(ドル高・円安)米株に投資するという流れである。160円台の円安はこの20兆円の残高があると言われているキャリートレードが寄与していたといっても過言ではない。その証拠に米景気後退を示す指標が現れると、つまり米国株の見通しが危うくなると、為替は一気に円高・ドル安に振れ始めた。この動きは明らかに米経済のファンダメンタルズに反している。
米景気はリセッションに陥る段階ではなく、あくまで景気減速との認識であるべきはずだ。日本株が過剰に反応しているのは、米大手IT企業の大量売り、キャリートレードの巻き戻しによる円高、そして米景気後退といった過剰なファンダメンタルズへの認識といった要素が絡んでいる。相場が落ち着くのは、米景気指標が「巡行速度での景気減速」といった追加指標が出てからだろう。それまではボラティリティが高い相場となる。
本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤り がないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。





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