【ICGレポートVOL.936】 「米中デ・カップリング」は資産家が望むところ 29/04/2025
- ICGレポート
- 4月29日
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145%対125%の関税合戦。いずれにしてもこのような関税率の適用は両国にデメリットしか齎さない。ただし振り上げた拳を下すのには時間が掛かるのも事実である。そして決定的なのは、両国による極端な「経済デ・カップリング」は後退したものの、長期的視野で見た経済デ・カップリングは浸透していくものと思われる。アメリカが自国の安全保障を強化するという目的を達成する為には中国との経済デ・カップリングは避けられない。さて投資家の観点から見ると、どのような影響があるのだろうか?
実はむしろ歓迎する向きもある。一時的に米中が戦闘状態にある事は憂慮すべき問題であるが、長期的にはお互いの金融市場が一方の国の影響を受けなくなる、或いは影響が軽微に留まるということは投資リスクが低くなるということになる。
例えば2008年に起きたリーマンショック時には多くの米大手金融機関が経営難に陥り、それらの金融機関との取引がある各国の金融機関に伝播していき信用リスクが拡大してしまった。中国もその波から逃れることが出来なかったが、まだ成長率が高く資金力があったので、4兆元の財政出動を行い、世界経済を下支えすることになった。
今後は、デ・カップリングが浸透していくことによってアメリカ株の暴落でも中国株にはほとんど影響がなかったり、また中国の経済危機が起こったとしても米国株はあまり反応しなくなるだろう。投資家・資産家にとっては悪いことばかりではないはずだ。
本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤り がないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。

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