【ICGレポートVOL.937】 ドルの暴落を防いだニッポン 03/05/2025
- ICGレポート
- 5月3日
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なんとかトリプル安に歯止めを掛けようとするアメリカ。ドルインデックス先物は年初の高値が1月13日の109.8ドルで、わずか3か月後の4月21日には98.0ドルまで12%の急落となった。市場では株安、債券安と並んでトリプル安と言われていたが、ドル安はトランプ氏にとってはかなりショックが大きかったようだ。
アメリカの不人気を反映したドル安は、アメリカの輸入物価を押し上げ、関税によるインフレに更に拍車を掛けるものであるから、到底トランプ氏の支持者には受け入れられるものではなかった。そしてインフレはそのまま最悪のシナリオである失業者増に加えて、米景気をリセッションに導いていくものとなる。
そのような折、4月24日に日本の加藤財務大臣とアメリカのベッセント財務長官の会談が行われた。加藤財務大臣は「為替水準の目標については議論せず」といった発言が出たが、それはそうだろう。例えばここでアメリカが日本に対して「1ドル=130円」だとか「1ドル=125円」という目標値が設定されていたならば、それはドルの暴落を意味するからだ。つまり為替市場の参加者は、日本円のみならず対ユーロ、対ポンド、対スイスフラン等の主要通貨にドル売りを仕掛けたはずであったからだ。
世界の為替市場で2023年10月時点のデータによるとドル・ユーロが為替市場の全取引量の24%程度、円・ドルが同13.5%、そしてポンド・ドルが9.6%と続く。つまり先の会談は、世界の為替取引量で2位の日本円がドルを下支えする結果となった。もちろん関税政策の行方、米景気動向によって今後もドル相場を注視する必要はあるが当面はドルを積極的に売り辛くなってしまった事は確かである。
本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤り がないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。

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