【ICGレポートVOL.856】 日本銀行は「株高」で儲けて「債券安」で損をする? 13/03/2024
- ICGレポート

- 2024年3月13日
- 読了時間: 2分
更新日:2024年3月22日
昨年、米投資家のウォーレン・バフェットがバークシャー・ハサウェイ社のポートフォリオにおける日本の商社株に投資を拡大させて以降、日本株の快進撃が止まらない。3月13日時点で年初から約15%以上、上昇している。株高の要因として日米金利差を意識した円安、デフレ脱却、海外投資家による国際ポートフォリオの転換(中国⇒日本)、そして日本企業の労働生産性の向上等が挙げられるが、個人投資家はあまり株高の恩恵を受けていない。
日本の個人金融資産に占める株式・投信の割合はわずか10%程度であるからだ。しかしながら間接的には年金基金の運用成績の向上を受けて、年金原資が増加傾向にあるのはプラスと捉えてよいだろう。
一方で最も株高の恩恵を受けているのが日本銀行である。金融緩和政策の一環として比較的株価が安い時に上場投信(ETF)を購入して市場に資金供給を行ってきた。その後の株高によってETFの含み益が2月末時点で34兆円にまで膨れ上がっているという。
2022年度に日本銀行は、ETFから「分配金収入」(株式における配当金にあたる)を1兆1000億円受け取っている。日銀は財務省と相談しながらこの資金を「債券取引損失引当金」への充当を検討しているようだ。
つまり国債の価格が金利の上昇で下落し、損失額が大きくなることを恐れているのである。日本国債の発行残高だけでも2023年度末には1068兆円になると試算されている。
株式投資で稼いだ資金を近い将来の国債の損失に充当するのも焼け石に水かもしれない。
本レポートは十分に注意深く編集していますが、完全に誤り がないことを保障するものではありません。本レポートはあくまで投資決定上のひとつの材料とお考えください。





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